『田園の詩』NO.125 「職人の技術交流」(2001.3.6)


 県下の各市町村で生産されている工芸品、民芸品、玩具などを一堂に集めて展示・即売
する『大分県地域工芸品フェア』が毎年2月の中旬に開催されます。私も4日間、大勢の
生産者とともに、自作の「筆」を展示してきました。


      
      パンフレットが見つかったので載せます。


 毎年このフェアを楽しみにしているというお客さんがいるものの、昨今の不景気の影響
からか客足は年々減少しているように感じました。

 午後7時まで開催しているのですが、5時頃から会場内は関係者一同という状態になり
ます。イスに座り込んで慣れない接客の疲れを取る人もおれば、自由行動ができるように
なったので、自分の持ち場を離れて、職人同士の交流を楽しむ人もいます。

 職人様々で、寡黙なタイプと良く喋るタイプに分かれますが、最近の職人は後者の方が
多くなってきたようです。自分の作品を責任を持って丁寧に説明している姿には好感が
もてます。

 お互い職人同士ということで、親しくなると技術的な「手の内」まで明かしてくれること
があります。異業種であっても、これが意外と役立つことがあるのです。「技を盗む」と
はこのことでしょうか。私がフェアに参加するのはこんなチャンスがあるからでもあります。

 技術を他人に見せるのを嫌がる職人さんがいます。あるいは企業秘密らしきものがある
のかもしれますん。そのため、同業者はもちろん、お客さんまで仕事場に通さない方がい
ます。

 その点、私の師匠は全てオープンでした。いつでも誰でも仕事場に通しました。あきらか
に技を盗みにきていると分かっていても隠すことなく説明していました。自分の製筆法が
一番理に適っている。他の職人が自分の技を盗むことで、少しでも筆の品質が良くなって
くれたら…。こんな自信と願いがあったのだと思います。

 こちらが門を開ければあちらも開く、世の中やはりギブ・アンド・テークです。技術は交流
しなければ高まらないと思います。

 隠し事ばかりの職人さんとは付き合いたくなくなります。   (住職・筆工)

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